ガタンゴトン、ガタンゴトンと奥津軽を走る、
オレンジ色の列車「走れメロス号」。
その沿線に広がるノスタルジックな風景が、
旅する人に温もりある癒しを与えてくれることを
津軽の小さな鉄道旅が教えてくれました。
津軽鉄道は、1930(昭和5)年に開業した本州最北端の私鉄です。なかでも、石炭だるまストーブを客車にのせて走る冬のストーブ列車が人気で、さらに夏には風鈴列車、秋には鈴虫列車を運行。季節ごとに楽しめるのが大きな魅力となっています。
今回の旅の始まりは、津軽鉄道の最北端に位置する津軽中里駅から。駅の中には津軽の特産物を販売する産直や食事処があり、さらに無料のレンタサイクルもあるので、列車が来るまでの待ち時間も楽しく過ごせます。
津軽鉄道には、手ぬぐいやキーホルダーなどオリジナルグッズがいっぱい。それらを手に、席をまわりながら丁寧に車内販売を行う車掌さんの笑顔に、津軽の人のあたたかさを実感。
車内の「津鉄文庫」に並ぶ太宰治の本の奥に見えてきたのは、その太宰がよく遊んでいたという日本さくら名所100選のひとつ「芦野公園」。毎年、桜の時季にはたくさんの観光客で賑わいます。
この公園の中にある駅で途中下車し、隣接する木造平屋建ての旧駅舎へ。
現在は喫茶店「駅舎」として利用されており、当時の面影を残した店内では、津軽りんごの甘みと豚肉の旨みがぎゅっと詰まった「スリスリりんごカレー」(下写真)や、馬肉を使った「激馬かなぎカレー」が味わえます。
津軽鉄道線唯一、列車の行き違いが可能な相対式ホームを持つ駅。2階には食堂「ぽっぽ家」があり、十三湖のしじみがたっぷり入った「しじみラーメン」を堪能することができます。また喫茶メニューも豊富で、店内からは岩木山の眺めもばっちり。そのため休憩スポットとしてもおすすめです。
「ぽっぽ家」のしじみラーメン
津軽鉄道名物の、アテンダントさんによる津軽弁での観光案内。車窓から見える景色や津軽の歴史について、ユーモアを交えながら楽しく紹介してくれます。
約20kmの旅の終点は、JR五所川原駅と跨線橋を共用する津軽五所川原駅。1956(昭和31)年に建てられた趣ある駅舎の中には昭和の面影が色濃く残り、特に縦書きの時刻表は訪れた人の郷愁を誘います。
五所川原のグルメ&お土産は、津軽五所川原駅および隣接する「でる・そーれ」で購入可能。
地鶏・青森シャモロックと長芋のすいとんが入った「津鉄汁」は、津軽産の食材にこだわって作られた一品。
(写真左)「中まで赤〜いりんご」と砂糖だけで作られた爽やかな酸味のあるジャムが、甘いソフトクリームと相性抜群! (写真右)五所川原特産の希少品種「中まで赤〜いりんご」を搾った、赤い色が美しい無添加無着色の果汁100%ジュース。
全国から訪れるファンもいる津軽鉄道。ぜひ一度、のんびり津軽の旅へお越しください。