雪深い土地だからこそ大切に受け継がれてきた、津軽の豊かな食文化。そこには冬場の食料不足を補うための知恵と、家族や客人に対するお母さんたちの優しい愛情がたっぷり込められています。心も体も温めてくれる、地元の素材から生まれた滋味深い味わいの数々。きっと誰もが「懐かしい」と思える一品に出会えるでしょう。
数百年前から小正月の精進料理として作られてきた“津軽の七草粥”。大根や人参、ごぼうなどの根菜と、塩蔵していたフキやワラビ、そしてこんにゃく、油揚げ、凍み豆腐などを細かく刻んで煮込み、味噌で味付けした体の芯から温まる一杯です。
ホタテの貝殻にだし汁を入れ、ホタテや長ネギ、旬の食材を加えて味噌で煮込み、卵でとじる津軽の故郷の味。ごはんのおかずとしてはもちろん、お酒のおつまみにもぴったり。津軽では風邪をひいた時などの栄養食としても親しまれてきました。
津軽が生んだ文豪・太宰治も好んで食べていたという、春先に収穫した薄くてやわらかい一年ものの昆布でごはんを包んだ郷土食。味付けは昆布についている塩気のみととてもシンプルですが、その分、豊かな磯の香りもしっかり感じることができます。
冠婚葬祭や仕事始め、地域の行事などの際に各家々で作られてきた津軽の伝承料理。弘前市石川地区に拠点を置く「津軽あかつきの会」では、それらを受け継ぎ、次の世代へつないでいくための活動に取り組んでいます。さらに大きな魅力となっているのが、予約をすれば木曜〜日曜限定で会員さん手作りの伝承料理が楽しめること。その味を求めて遠方から足を運ぶ人も少なくありません。お膳に並ぶのは、どれも地元で採れた食材や自家製の調味料を使った風味豊かなものばかり。化学調味料はもちろん油や肉の使用も可能な限り避け、素材本来のおいしさを活かせるよう工夫を凝らしています。一口いただくごとに実感する、季節の食材の旨みと保存食の奥深さ。
地元で採れた山菜や野菜、魚などを一つひとつ丁寧に下処理し、調理。 ニシンとハタハタの飯寿司や青森のお米「青天の霹靂」の美味しさが際立つ豆ごはん、 さらにカトザメや塩くじらなど、津軽ならではの郷土料理が並びます。
醤油と麹、そして津軽の在来野菜である青唐辛子「清水森ナンバ」を使って作った、二年物の一升漬。きゅうりや豆腐、ごはんなどによく合います。
収穫した山ブキは塩と糠と交互に重ね、剥いたフキの皮でフタをした上から20キロの重しを載せて塩漬け。
笑顔あふれる元気な”かっちゃ(お母さん)“たちが作る津軽の味を、皆さんもぜひ体験してみませんか?
青森県弘前市石川字家岸44-13(工藤会長宅)
TEL.0172-49-7002
※1食1,500円〜 要予約